Microsoftは2026年9月25日、Microsoft 365 Copilotを「Home」「Code」「Autopilot」の3つの入口に作り直すと 発表 しました。同時に料金の考え方も変え、チャットやWord・Excel・PowerPointでの日常的な利用はこれまでどおり1人あたり月額のライセンスでまかない、長時間動くエージェント機能と最上位モデルは「Copilot Credits」(1クレジット0.01ドル)による従量課金に切り分けます。Microsoft 365を全社導入している企業の情報システム部門は、エージェント機能を使わせる前に予算の上限を設計する必要が出てきます。
3つの入口で何ができるのか
新しいCopilotは、用途ごとに3つの画面に分かれます。 Microsoft Source EMEAの告知 と同社の関連ブログから整理すると、次のとおりです。
Codeで作ったアプリは、同日に公開プレビューとなった Copilot Managed Runtime 上で動きます。自社のMicrosoft 365テナント(組織ごとの契約環境)の中でMicrosoftがホスティングを担い、利用者の認証はMicrosoft Entra ID、コードはGitで版管理され、管理センターに一覧が出る仕組みです。同社は「Microsoftがプラットフォームを運用し、組織が境界を決める」と説明しています。現場の社員がAIで作った小さな業務アプリが、個人のPCや野良クラウドに散らばるのを防ぐ狙いと読めます。
Frontierプログラムは、Microsoftが新機能を先行提供する早期アクセス枠です。今回の3機能はいずれもまず一部の組織向けで、全社員がすぐに使えるわけではありません。
料金は「日常の定額」と「高度な従量」に分かれる
今回の発表で実務への影響が大きいのは料金です。同社のNicole Herskowitz氏は 「Evolution of the Copilot pricing model」 で、Copilotを「日常のAI」と「高度なAI」に分ける方針を示しました。
定額側にも上限はあります。利用量が特に多い人には、まず警告が出て、そのあと「追加費用なしで自動ルーティングに切り替える」か「クレジットに移る」かを選ぶ流れです。同社は理由を「すべての作業にメーターが付くと、企業はAIの利用を配給制にし、一部の人しか使えなくなる。私たちは全員が使うべきだと考える」と書いています。日常利用は定額のまま広く配り、コストの大きいエージェント処理だけを従量にする、という線引きです。
クレジットの単価は Copilot Credits Guide で1クレジット0.01ドル、1ドル150円で換算すると約1.5円です。年間の事前購入プランでは、購入量に応じて5〜20%の割引があります。ただし、Coworkの1タスクで何クレジット消費するかについて、ガイドは「おおまかな計画用の見積もり」としか示しておらず、作業の中身で大きく変わります。
なぜ今、課金の形を変えたのか
背景には、Copilotの中身が「質問に答えるチャット」から「何時間も動き続けるエージェント」へ移っていることがあります。エージェントは1回の依頼で何十回もモデルを呼び、上位モデルほど原価も高くなります。1人月額の定額だけでは、ヘビーユーザーの処理費用を他の利用者の料金で支える形になり、価格を上げるか利用を絞るしかなくなります。
Salesforceが数日〜数週間動く 職務別エージェント を打ち出したように、業務ソフト各社は長時間動くエージェントを主力に据え始めています。エージェントの処理量は人によって桁違いに変わるため、課金の軸も「席数」から「処理した仕事量」へ寄せざるを得ません。今回のMicrosoftの再編も、この流れに沿ったものと考えられます。
日本の管理者が押さえたい設定
Microsoft Learnの管理ドキュメント (9月25日更新)によると、従量課金は管理センターの「Copilot > Cost Management」で支払い方法と上限を決め、「Activate」を押して初めて使えるようになります。請求にはAzureサブスクリプションの接続が必要で、前払いのクレジットがあればそれを先に使い、足りない分が従量払いになります。現時点でこの仕組みの対象になっているのはCoworkとWork IQ APIで、ほかのサービスは順次追加される予定です。
注意したいのは、支出ポリシーの「Auto-apply new services(新しいサービスに自動適用)」が既定でオンになっている点です。オンのままだと、今後CodeやAutopilotが従量課金の対象に加わったとき、既存のポリシーに自動で含まれ、利用できる状態になります。新機能を段階的に試したい組織は、この設定を一度確認しておくとよいでしょう。ドキュメントは、1人の利用者がクレジットを使い切らないよう「ユーザーごとの月間上限」を設定することも勧めています。
円建ての請求額は為替で動くため、日本企業にとっては月ごとのブレが定額ライセンスより大きくなります。予算申請では、ドル建ての上限と円換算の前提レートをセットで示しておくと、経理との調整がしやすいと考えられます。なお、10月にはCopilot Studioで作ったエージェントも同じコスト管理の対象になる予定です。Office文書をAIで直接編集する流れは、 ChatGPT for Wordの全プラン提供 とも重なり、比較検討の材料になります。
次にやること
- Microsoft 365管理センターで「Copilot > Cost Management」を開き、支出ポリシーの「Auto-apply new services」がオンかどうかを確認する
- Coworkを試す部署を決め、グループ単位の月間予算とユーザーごとの上限を先に設定してから有効化する
- Frontierプログラムに参加している場合は、HomeとCodeの展開状況を見ながら、Codeで作ったアプリを誰が承認・管理するかの社内ルールを決めておく


